飯塚正将行政書士事務所

遺言書

遺言書を残さなければ、法律で定められた相続人が定められた割合で相続することになります。 遺言書を作成することによって、家庭の実情に即した相続の内容に修正できるのです。 また、遺言書は作成後、何回でも修正することが可能です。 亡くなる直前に「遺言書を作成したい」「家族が作成してほしい」という状況になっても、その時点では病気などの影響で自分の意思を表明できず、法的に有効な遺言書を作成できないケースは少なくありません。

自筆証書遺言

遺言書の作成者が、遺言書の全文、日付、および氏名を自分で書き、
捺印した遺言書(パソコンで作成・代筆は不可)です。

メリット 簡単に作成や変更ができる。 内容の秘密が守られる。
デメリット 紛失・偽造・変造の恐れがある。 要件を満たしていないと無効になってしまう。 家庭裁判所の検認が必要。

遺言書は要件が法律で厳格に定められていますので、要件を満たしていないと法的に効力がないものになってしまいます。ご注意ください。

検認

遺言書が見つかった場合、家庭裁判所で検認をする必要があります。これは家庭裁判所が遺言書の形式や状態などを調査して、偽造や変造を防ぐために行うものです。申請件数が多い家庭裁判所の場合、検認に1か月以上かかることもあります。

公正証書遺言

公証役場で、2人以上の証人の立会いの下、公証人に口頭で伝え、公証人が遺言書を読み聞かせ、署名・捺印したうえで、公証人も署名・捺印して作成する遺言書です。遺言者が病気などで公証役場へ行けない場合でも、公証人が自宅や病院に出張することにより、作成することが可能です。

メリット 公証人が作成するので、遺言書の存在と内容が明確で、証拠力が高い。 原本は公証役場で保管されるので紛失などの心配がない。 家庭裁判所の検認が不要。
デメリット 公証役場へ行き、証人を用意しなければならない。 時間と費用がかかる。 公証人と証人に遺言書の内容を知られてしまう。

付言

相続財産の分配など、法律で定められている以外の内容(感謝の気持ちなど)で、法的拘束力はありません。遺言書の内容が相続財産の分配のみだと、相続財産の分配が少ない相続人にとっては、受け入れがたいものになってしまいます。また、対応が難しい遺留分(相続人が法律で取得することが保障されている一定の割合)に対しては、付言が非常に効果的です。

過去に作成した付言の例

1. この遺言書では、私の財産の大部分を占める家と土地を妻と長女に残すことにしました。私が心配しているのは、認知症の症状が出てきた妻のことですが、近くに住む長女は、献身的に私達を助けてくれています。 長女はこれからも大変だと思いますが、妻のことをよろしくお願いします。 必要とあれば、自宅を売って生活費に充ててください。長男は不満があるかもしれませんが、1人でも生きていけるように育てたつもりです。これからもがんばれ!


2. 私が事業で失敗した時に、本来であれば離婚されても文句を言えない状態であったが、妻は看護師として復職、私の借金返済に全力を尽くしてくれた。 もし、私が妻よりも先に死んだ時には、今ある住居は妻の名義にして、安心して暮らせるようにしてあげたい。本来であれば、兄弟にも相続の権利があることは知っており、財産を残せないのは申し訳なく思うが、妻を困らせるようなことをしないようにしていただきたい。 妻とは、私の死後も円満に付き合いを続けてもらえればこれ以上の幸せはない。

相続

遺産の分割など、法律の知識がなかったために思うようにいかず、「住み慣れた自宅を手放さなければならなかった」「当たり前だと思っていた家族の関係が壊れてしまった」など、後悔するケースは少なくありません。法律に詳しくないなど、少しでも不安がある時は、お気軽にご相談ください。

法定相続

法定相続とは、人が死亡した時に、その事実を理由として、死亡した人(被相続人)の権利・義務が、法律に従って相続人に承継されることです。相続は、被相続人の死亡によって開始します。

法定相続人

順位1:被相続人の子(実子・養子とも同じ順位)
順位2:被相続人の直系尊属(両親・祖父母など)
順位3:被相続人の兄弟姉妹
被相続人の配偶者は、常に相続人になります。

法定相続分

・配偶者と子が相続人になる場合
それぞれが2分の1
・配偶者と直系尊属が相続人になる場合
配偶者が3分の2 直系尊属が3分の1
・配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合
配偶者が4分の3 兄弟姉妹が4分の1

この法定相続分は、遺言書によって変更することが可能ですが、遺留分を侵害することはできません。

遺留分

相続人が法律で取得することが保障されている一定の割合です。しかし、遺留分を侵害する処分(遺言書など)があっても、当然にその処分が無効というわけではなく、遺留分の侵害を受けた相続人が、遺留分減殺請求権を行使した場合に、その遺留分を取り戻すことができます。

一般的な相続手続きの流れ

  • 1.遺言書の有無を確認
    ※自筆証書遺言は家庭裁判所の検認(遺言書の形式や状態などを調査すること)が必要
  • 2.相続人の調査
  • 3.相続財産の調査
  • 4.単純承認・限定承認・相続放棄を選択
    ※限定承認・相続放棄の場合は、相続があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述する。
  • 5.遺産分割協議書の作成
  • 6.準確定申告(相続があったことを知った日の翌日から4か月以内)
    ※準確定申告とは、相続人が被相続人の確定申告を行うこと。
  • 7.相続財産の分割・名義変更(不動産・預貯金・有価証券など)
  • 8.相続税の申告(相続があったことを知った日の翌日から10か月以内)

相続の煩雑な事務処理

相続手続きは、上記のように煩雑な手続きが多く、期限があるものもあります。「家族を亡くして気持ちの整理がつかないうちに期限が過ぎてしまった」そのようなことのないように。

尊厳死宣言書(リビングウィル)

尊厳死宣言書(リビングウィル)を作成される方が増えています。終末期医療の選択を伝えるため、看護してくれる家族のため、尊厳死宣言書を作成しませんか?

尊厳死宣言書(リビングウィル)が必要なケース

「亡くなった主人が、2年間も病院で人工呼吸器を使うことになり、つらい思いをした」このような経験をされた方が、遺言書とともに尊厳死宣言書を作成することが多くなっています。回復することが困難な状態になってしまった時、家族は難しい選択を迫られます。

尊厳死を希望していても、それが書面として残っていなければ、希望を叶えることは難しくなってしまいます。延命治療を拒否する旨を家族が医師に伝えると、医師から何度も「本当にいいんですか?」と聞かれ、罪悪感を感じ、延命治療に同意してしまうケースは少なくありません。

尊厳死宣言書(リビングウィル)で宣言する3つの内容

尊厳死宣言書は、尊厳のある、心身ともに安らかな死を迎え入れるために、事前に延命措置を停止する意思を伝える書面です。終末期に意志を伝えられなくなった時のために、意思を明確に書面にしておくことは、家族の心理的な負担を大きく軽減させます。なお、現時点では尊厳死に関する法律はありません。 尊厳死宣言書は100%法的に有効ではありませんが、近年は尊厳死宣言書によって医師が尊厳死を許容する割合は、95%に及びます。